”他者の否認に抗する共生の思考”
他者の排除や否認へ向かうナショナリズム、レイシズム、植民地主義などに抗し、境界を強化するあらゆる二元論を乗り越え、他者にひらかれた、所与の空間の外部をラディカルに探求する。「他者と共に在る」ために、新たな理論的地平をひらく画期的思考実践。
「アンチからオルターへと思考を開くこと、それは声高に主張することから、静かな囁き、聞こえぬ声、消えゆく声に静かに耳を傾けようとする自省的な試みに自らを開くことにほかならない。」(解説より)
目次
序 章
第I部
第1章 後期入植者状況のグローバル化
第2章 「ドツボにはまる」ことについて――危機の批評と批評の危機
第II部
第3章 批判的人類学の思考とラディカルな政治的想像界の現在
第4章 アラブの社会科学と批判をめぐるふたつの伝統
第III部
第5章 民族誌と政治的な感情について――調査地で、イスラエルを嫌悪すること
第6章 オルター・ポリティカルな理性とアンチ・ポリティカルな感情――ファノンの場合
第IV部
第7章 自己陶酔的な被害者意識について
第7章への追記 私は詩を書くことはないが、どんなときも、詩は、詩ではない。
第8章 占領されざるもの
第9章 反レイシズムをリコールする――根絶可能性の批判的人類学に向けて
第9章への補論 人をゴミのように棄てる植民地主義に抗して
第10章 ユートピア的思想という現実に住まうということ
第11章 もうひとつの帰属のあり方
原 注
解 説 もうひとつの思考と政治に向けて――ガッサン・ハージの人類学を基礎づけるもの(齋藤 剛)
訳者あとがき 夢見る知識人の複数的思考――ガッサン・ハージ
著:ガッサン・ハージ 監訳:塩原良和・川端浩平 訳:前川真裕子・稲津秀樹・高橋進之介 出版社:明石書店 2022 初版 ソフトカバー 426p
B(帯付)