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金は払う、冒険は愉快だ

「俺はこの町で一番頭が悪く、なんのコネやツテもなく、やる気も金もないクソみたいな道具屋だ」

関西某所のとある古道具店。
客は主に今から死ぬ年寄りか、最近死んだ誰かの遺族。
今日も遺品を買取に行く。
朝七時半に電話をかけてくる「早口でうるさいジジイ」、ジョギング帰りの中年女、元ヤクザの爺さん、大金持ちの婆さん、、
時折登場する家族や猫が情緒を刺激する。
中卒、アングラ商売、アルコール依存症、ホームレスなど破格の経歴をもつ道具屋店主による、金と汗と汚物と愛にまみれた“冒険”の数々を、唯一無二の文体でつづった痛快私小説。
今年(2023年)最高の一冊かも知れない。

古物のみならず人間の本質を見抜く確かな目。群れない。他人の評価に無関心。クソをクソのまま描く作者の口の悪さと無類の筆力に圧倒された。
――こだま(作家)

著:川井俊夫 出版社:素粒社 2023 ハードカバー 208p
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