この話は
誰にも言わないで と
海の声で
頼まれてしまった
(「海」より)
奈良市の郊外で鹿と暮らす詩人西尾勝彦の詩集。
こういう言葉を西尾さんは好まないかも知れないが「最高傑作」と言っていいだろう。
中でも「ふすま」「公園」「海」「一九四五年のキョート」「この世界は」という詩は珠玉の一編で、余白を漂う言葉が本来の世界の在り方を示してくれる。
「場末にて」は2021年にblackbird booksから発行された小部数の詩集「やすらぎの陰」に収められた詩で、今回正式にタイトルとなって冒頭に収録された。自分で決めた道を一人歩くすべての人にとってお守りとなるような詩です。
装画は前作「ふたりはひとり」に続き小川万莉子。
装幀は川島雄太郎。
内容も手触りも本当に素晴らしい作品になっています。
当店が作成したオリジナルの栞付
本編未収録の詩「見えない声」を読むことが出来ます。
著者:西尾勝彦 出版社:七月堂 2023 初版 ソフトカバー 128p
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