二十年が過ぎたが、彼にはまるできのうのことのように思われる。人が生きていくなかで、時の長さは、暦ではなくて、生じた出来事によって計られるからだ。道の長さが、実際の距離ではなくて、道行きの困難さによって記憶されるのと同じように。
(向こうにカルニアが)
テーマは狩猟と戦争。
第二次大戦後、ロシアから帰還し、以来故郷である北イタリアの高地に暮らした孤高の作家マーリオ・リゴーニ・ステルンの短編集。
戦争体験と野生を見つめる眼差しで描かれる簡潔で力強い文体は他に類を見ない。
オリジナルは1962年に刊行。
この日本語版は2004年にみすず書房から大人の本棚シリーズの一冊として刊行された。
絶版
著:マーリオ・リゴーニ・ステルン 訳:志村啓子 出版社:みすず書房 2005 2刷 ハードカバー 237p
C(帯付)