記憶を辿り、今自分が生きているという現実から目を離さずに書かれた文章。
傷跡ばかりが増えていく。死に直面する。
だから、生死について考えないわけにはいかないのだろう。
それでも読むことから目を背けられないのは滝口さんの言うように希望があるからだろうか。
自主制作の日記が話題となった蟹の親子さん初の商業出版。
”ひとりなのに親子だという。足は多いが横にしか進めない。そんな奇妙な名を持つ書き手は、自分の体が過ごしてきた時間を気重たげに行き来する。文章を書くことはどうしたって誰かが生きた時間の肯定になることをこの本の文章は教えてくれる。湖底に潜むような、重くて鈍い、けれども確かな希望。”
ーー滝口悠生(小説家)
装画:中村桃子
著者・Author : 蟹の親子 出版社 publisher:百万年書房 2024 ソフトカバー 226p
new 新刊書籍