「母だって、私と、九つ歳の離れた兄を育てたときに、家族にも、社会にも、子どもに対しても思ったことはいろいろあるはずで、そういう言葉はどこへ行ってしまったのだろう、と思ったのです」(植本)
ひとりをおそれる写真家植本一子と、子どもが生まれた小説家滝口悠生による10往復の手紙のやりとり。
母のこと、子どものこと、文章を書くこと、社会のこと、戦争のこと、過ぎ去った日々のこと。
暮らしの中で出会う悩みや発見をてらいなく、正直に打ち明けていく2人の作家の姿に生きていくことの尊さを垣間見れた気がします。
大変好評だった自主制作本「往復書簡 ひとりになること 花をおくるよ」が文庫化です。文庫版には2023年に交わされた2往復が追加されています。
著者 Author:植本一子・滝口悠生 出版社:筑摩書房 2024 初版ちくま文庫 250p
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