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岸 Shore / 清水裕貴 Yuki Shimizu

2011年 1_Wallグランプリ受賞、2016年 三木淳賞受賞を経て初となる写真集。
十年に渡る水辺を巡る旅から生まれた。
小説家でもあるこの写真家は水と人との関わりについての物語を創作し、写真とも共に構成し、この一冊を作りあげた。
人にとって不可欠な存在でありながら、厄災ももたらす水のある風景を写し出し、言葉を掬い取る。
薄い網膜のようなビニールカバー仕様。

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この写真集は、水辺の旅の写真、潮間帯に生きる架空の生物の話、水中から攫いにくる何者かとの会話、海水や黴で腐蝕させた写真で構成されている。

水は人々の生活に不可欠なものだが、同時に大きな災いをもたらす存在でもある。人は時に川を神に見立てて、海に怪物の影を見つけ、湖の水面や白波の向こうに亡くなった人を幻視した。
私は十年に渡り水辺を旅して、身投げした姫が龍神になった川、生贄が捧げられた池、毒を浄化する湖、雨乞いのお祭り、水の喜びを歌う人たち、オアシスの街の跡、古代湖が干上がった砂漠などを撮影した。その傍ら、水神にまつわる伝承や、水害などの記録を集め、フィクションの世界を立ち上げて言葉を綴った。
それは風景の多層性を表現する試みである。

風景と写真は常に一致しない。カメラによって二次元に再構築された風景は、現実の視界とは大きく異なる光の絵だ。撮影者の目だけではなく、レンズの身体性、黴や埃の足跡、風と雨、水蒸気の振る舞いが複雑に絡み合う。撮影者は恣意的な操作と外界の干渉の間で揺れ動きながら、今ここに立っていることを保存しようとする。

しかし写真が描き出すのは、思いがけない他者の気配だ。
数秒前、数十年前、数百年前にいたかもしれない何者かの気配が、誰もいない草むらに生々しく立ち上がる。
私はそこにいる何者かの気配をよりはっきりと掴むために、撮影した場所を何度も歩き直し、言葉による風景の再構築を行った。言葉は私の心象を表現したものではなく、被写体の直接的な説明でもなく、風景を語り直したものだ。
その言葉を添えることで、過去の一瞬を切り取った写真へ、撮影後の時間軸からも干渉を加える。
もう一つ撮影後の時間軸からの干渉として、ネガフィルムを黴や海水で腐敗させた写真もシークエンスに加えている。
異なる階層から語られた風景は波のようにぶつかり合い、そのはざまに新しく風景が立ち上がる。

風景に蓄積された過去、他者の声に耳を澄ます装置としての写真の可能性を探る。
新しい風景の表現方法。

清水裕貴


著者 Author:清水裕貴 Yuki Shimizu 出版社 PUBLISHER:赤々舎 2023 softcover H200mm × W300mm 136p + 別丁16p
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