「この本はわたしの身近な家族にまつわるものである。父のレイモンドは慢性的なアルコール依存症だ。彼は外に出るのを好まず、大抵自分で醸造した酒を飲んでいる。母のエリザベスはほとんど飲まないが、かなり煙草を吸う。ペットと装飾的なものが好きだ。2人は1970年に結婚し、すぐその後にわたしが生まれた。弟のジェイソンは11歳の時に外に預けられたが、今は再びレイとリズのもとへ戻っている。最近、彼は父親になった。レイは、ジェイソンは手に負えない、と言う。ジェイソンは、レイは笑える人だがああはなりたくない、と言う。」− 初版紹介文より

イギリス人フォトグラファー、リチャード・ビリンガム（Richard Billingham）の作品集。
20世紀における最も重要な作品と言われるマスターピースが未公開作品を含み、およそ30年ぶりに新装版で復刊です。
アルコール依存と貧困が重くのしかかり、混沌と化した作者の実家を密接に、ありのままに撮ったイメージ群で構成。この家族にカメラを向けることは並大抵の覚悟では出来ないだろう。家族の四人、誰の感情も過去も窺い知ることは出来ない。ただ、混沌とした日常が写し出される。

「新版の刊行に伴い同時発売される『RAY'S A LAUGH: A READER』では、「サンダーランド大学（Sunderland University）」在籍中のビリンガムの「発掘」から、2001年の「ターナー賞（Turner Prize）」へのノミネートを経て現在の改訂版の刊行にいたるまで、リズ・ジョビー（Liz Jobey）による編集で、この非常に人を惹きつける作品の歴史を辿っている。」（版元より）