巻き貝のなかを明るくするように母は美大はむりよと言った
会うことのなかった四羽の心臓が一つに刺されて完成している
死ぬことが悲しいだけでなかったこと 落ちて初めて燃ゆ流れ星
生きているだけでえらいの生きている定義がそもそも違う気がする
人生は優しいだけじゃ駄目ですか 中心部だけつめたいドリア
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”鳥さんの瞼”と名乗る歌人の衝撃的と言える第一歌集。
タイトルから分かるように「死」を見つめ続けることから生まれた歌である。
「死」と向き合うこと、それは「生」を考えること。
死と生のなかにあるやさしさやうれしさが宝石のように散りばめられている。
栞(16p)封入 寄稿:東直子、岡本真帆、林あまり
装丁:名久井直子
著者:鳥さんの瞼 出版社:点滅社 2024 初版 ハードカバー / 94p
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