”私をフィールドワークへ向かわせたのは、コロナに罹らないことが命を大切にすることであるという、生をあまりに平坦化したものの見方と、それがあっさりと現実化する世の流れへの恐怖、名誉心を装う虚栄心への怒り、同じ社会を未来へ残したくないという願いであった。”
最後のお別れすら許さない病院
火葬すら立ち会わせない予防策
子どもたちへの黙食指導
至る所に設けられたアクリル板
炎天下でも外せないマスク、連呼された「気の緩み」
――あの光景から希望を紡げるか?
人類学者が「不要不急」のフィールドワークから考えた、「和をもって極端となす」日本社会の思考の癖、感じ方の癖。
思えばあの光景はなんだったのか?ということばかりだ。
痛快にぶった斬る本ではない。なぜ私たちはやりすぎるのか、いのちを大切にするとはどういうことか、人類学の視点で、やはりもう一度出会い直さなければならないのだ。
著者:磯野真穂 出版社:柏書房 2024 ソフトカバー 230p
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