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その猫の名前は長い

「何がしきりにわたしたちを臆病者にさせるのだろう。わたしたちを絶えず孤立させ、ああはなりたくないと人に思わせ、軽蔑されやすい顔に変貌させ、何かを証明しなければと常にみずからを追い立てる。この病の名は何だろう。」(本文より)

見過ごされてきたけどよく知っている、中年女性の「ある感覚」を掬い取る短編集。

子育てと家事の合間を縫って育んだ中年女性の友情に入る亀裂を描く「わたしたちが坡州に行くといつも天気が悪い」、妻の外見を愛し内面を見ない夫の視点で描く「夏風邪」、若くして家計を担い働く娘が先輩女性社員に抱く淡い恋心を描く「その猫の名前は長い」など、生活のリアリティが滲み出る繊細な物語9作品。
主婦をしながら英米文学の翻訳家となり、アドリエンヌ・リッチやエリザベス・ビショップらに影響を受け小説を書いた著者の初邦訳。

小山田浩子推薦
解説:大阿久佳乃

著者:イ・ジュヘ 訳:牧野美加 出版社:里山社 2024 ソフトカバー 286p
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2,310円(税込)

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