2021年に開催された「東京ビエンナーレ 2020/2021」。
総合ディレクター小池一子が選んだ展示サイトは台東区の小学校に残る地下防空壕。
いまだ戦争の終わらない世界。そしてかつて戦火に包まれた東京。
「東京に祈る」という小池の言葉から内藤礼の展示は生まれる。東日本大地震から生まれ内藤礼の代表作ともなっている「ひと」と呼ばれる彫刻が東京の地下に立つ。もう戦争はしないでください、今ある戦争を許さない、という祈りが込められている。
以下、版元より
総合ディレクター・小池一子から出た言葉「東京に祈る」に呼応するように、内藤礼の作品「わたしは生きた」は制作されました。
1945年3月10日、東京大空襲により10万人を超える死者を出した東京都心東部エリアで、内藤は今なお残る戦争の記憶や痕跡をたどり、蔵前にある長応院境内のギャラリー・空蓮房に小さな人型の彫刻「ひと」を置き、墓地の慰霊碑に水を捧げました。また戦火の中、子供たちが避難し、現在も現役の小学校内にある地下防空壕にも「ひと」を配することで、周辺地域の持つ戦時の記憶を浮かび上がらせ、過去の鎮魂と未来へと捧げる、祈りの空間をつくりだしました。
暗闇の中、光のある方に身体をむける「ひと」。2011年に初めて制作された「ひと」は、わたしとあなた、生と死、内と外、過去と現在、そこにあるすべてを内包しながら静かに佇む者。「ひと」の前で人は、さまざまなことを思い、またさまざまな感情が喚起されることでしょう。
本書は、どのようなことがあっても、人は亡くなるその瞬間まで生きたのだ、と信じ「わたしは生きた」と題された本作を、畠山直哉の写真と小池一子のテキストにより書籍化したものです。
当時、会場は完全予約制、一部非公開であったため、作品の全貌が明らかになるのは初めてとなります。
著者:内藤礼・小池一子 写真:畠山直哉 デザイン:木村稔将 A5判/48ページ/ハードカバー 出版社:HeHe 2024.6
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