芸術と哲学の距離。そして、ものごとの自律性を改めて肯定すること。何もかもをクリエイティブだと言って微笑むようなこの時代に、創造性とは何かをゼロから問い直す。
-千葉雅也
フランスの哲学者ジル・ドゥルーズ(1925-1995)は哲学を<概念>を創造する実践だと定義した。
それでは芸術を通して概念を創造する批評とは何だったのか――
現代思想のあたらしい始まり。
装幀:須山悠里
装画:本山ゆかり
◎もくじ
序論
第1章 能力 美学批判とその挫折
1–0 前期ドゥルーズの能力論
1–1 理性、批判、超越論性
1–2 共通感覚とその発生
1–3 共通感覚批判
1–4 美学=感性論(エステティック)の統合とイメージなき思考
1–5 想像力の役割とその両義性
第2章 イメージ 『シネマ』の批評的受容論
2–0 イマジネーションからイメージへ
2–1 ベルクソンのイメージ概念――物質=イメージ=知覚
2–2 運動と思考――映画的能力論(1)
2–3 運動イメージと時間イメージ――観客の視点から
2–4 デューリングの映像論
2–5 イメージか装置か
2–6 観客かエンジニアか
2–7 イメージと概念
第3章 体系 地層概念の地質学
3–0 「地層」と後期ドゥルーズ
3–1 なぜ地層を概念にするのか
3–2 地層のエレメント
3–3 動物になる前に――剝離する表現(1)
3–4 ドゥルーズとフーコーの言葉と物(1)
3–5 視聴覚的思考――映画的能力論(2)
3–6 「ましてやわれわれ自身が著者であるとき」――映画の思考と『シネマ』の思考
3–7 内在平面――哲学の構築主義(1)
第4章 言語 概念のプラグマティック
4–0 命題と言表、科学と哲学
4–1 オースティンの言語行為論――パフォーマティブから発語内行為へ
4–2 デュクロの言語行為論――法的人称性と発語内行為としての前提
4–3 指令語と間接話法――言表行為の集合的アレンジメントとは何か
4–4 指令語をパスワードに書き換える
4–5 概念――哲学の構築主義(2)
4–6 眼を逸らさなければ書けない――〈実現〉のパリノード
第5章 人称性 パフォーマティブ理性批判
5–0 二〇世紀哲学史
5–1 哲学的自我と直観
5–2 コルニベールによるイメージ論の読解
5–3 哲学的言表行為の三人称性
5–4 イメージと常識――〈持つ私〉と〈在る私〉
5–5 〈呼ぶ私〉へ
5–6 概念的人物――哲学の構築主義(3)
第6章 非美学
6–0 振り返り
6–1 ポスト構造主義と否定神学批判
6–2 東浩紀の線と面、あるいは言葉と物
6–3 非並行論――ひとは身体が何をなしうるか知らないことも知らない
6–4 ドゥルーズとフーコーの言葉と物(2)
6–5 家具としての二元論、あるいは「非意味的切断」再考
6–6 ドゥルーズとフーコーの言葉と物(3)
6–7 生存の非美学――剝離する表現(2)
著者:福尾匠 出版社:河出書房新社 2024 ソフトカバー 466p
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