グラフィックデザイナーである著者が母になったら見えてきたこと。
変わり続ける色と形、それを楽しみ差し出す前に考えたこと。
資本主義の歪み、止まらぬ環境問題、ジェンダー不平等、社会の矛盾。
20代、30代とあらゆる責任と仕事を背負い”ダッシュ”で駆け抜けた先でぶつかった”出産”という大きな出来事。育児、家事、そして仕事。母親のリアルが彫刻刀で刻まれたように綴られています。
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グラフィックデザイナーが母になったら、色と形に辿りつかない日々が始まった。妊娠してお腹が大きくなり、のそのそと歩まねばならぬ体に変化していく中で見えてきたのは、ままならない体と足並みの揃わない社会だった。育児が始まると目の前に立ちはだかる仕事と育児の両立という壁。人々の暮らしと地続きであるはずのデザインの仕事と、目の前の家事育児という暮らしの相性の悪さ。子どもの時間と、仕事の時間。子どもを通して見ている世界と、仕事を通して見えている世界。混沌とした曲線の世界と、秩序だった直線の世界。二つの間で立ち往生しながら見えてきたのは、資本主義のレースと止まらぬ環境破壊とジェンダー不平等が一つの輪をなしている景色。そして子どもが手をひいて連れて行ってくれる、土の匂いがする景色。かつて自分も知っていた、あの曲線の景色。
(村畑出版)
-目次-
想定外の曲線
四角くて軽くて早い まあるくて重くて遅い
期待される自然な形
産まれたての赤
混乱の白い血
見えない仕事 見えない性
母のグラデーション
変形するひと 変形しないひと
命の結び目
色と形
著者・デザイン:長嶋りかこ 出版社:村畑出版 2024 3刷 ソフトカバー 128mm×188mm / 240p
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