私は生まれた、母のあそこから。
ちっとも知らなかった。
兄さんも生まれてた、母のあそこから。
ぜんぜん知らなかった。
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『100万回生きたねこ』『おじさんのかさ』『わたしのぼうし』など、たくさんの人に愛され続けている名作絵本を数多く生み出した佐野洋子。絵本と同じく高い評価を受けていたのがリズミカルな文体で書かれたエッセイでした。
1990年代にトムズボックスから少部数刊行された、佐野洋子の隠れた名著二冊を一冊にまとめての復刊。
娘の視線で描かれる性と生の不思議を巡る散文詩のような自伝的エッセイ。
繊細な版画と共に語られるこの話は人間の本質を柔らかいナイフで剥いでいくようです。一度読むと忘れられなくなる名作と言えるでしょう。
復刊に寄せて江國香織が解説を書き下ろしています。
著者:佐野洋子 出版社:港の人 2024 ソフトカバー 112p
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