受刑者が互いの体験に耳を傾け、本音で語りあう。そんな更生プログラムをもつ男子刑務所がある。
取材期間一〇年超、日本で初めて「塀の中」の長期撮影を実現し、繊細なプロセスを見届けた著者がおくる、圧巻のノンフィクション。
著者の映画作品『プリズン・サークル』は、日本で1か所だけ、刑務所の中で行われている「TC(回復共同体)」という対話による更生プログラムを、20 代の受刑者4人を中心に2 年間記録したドキュメンタリー。
本書は撮影と並行して執筆された。
なぜ暴力を起こしてしまったのか、加害者は刑務所でどう過ごし、どこへ向かうのか、罪とどう向き合うのか、社会は彼らをどう受け入れていくのか。終始緊張の張り詰める中、読者である我々もこの社会を構成する当事者であり、加害者にも被害者にもなり得ることを突きつけられる。
著者:坂上香 出版社:岩波書店 2024 9刷 ソフトカバー 278p
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