ぼくは戦争を手に入れた
放課後に 業務終わりに 子どもを園に預けているあいだに
親しい仲間と戦争を見せあった
さわりごこちがよくて
寝るときも一緒だという人もいた
下校中の高校生は今晩カスタムするらしい
お姉ちゃんは反対派だからって嫌がって
家では戦争を家のなかにしまってる
(「ぼくは戦争を手に入れた」より)
中也賞受賞後、2年を経て作られた、青柳菜摘の三作目となる詩集。
未発表詩篇を含む22篇所収。
数行の詩から数ページにわたる散文詩まで。
”連鎖する争いに抗うために、はるか遠くに向かう。”
新地登記簿、ぼくは戦争を手に入れた、仮語仮国仮名仮体、亡船記の四部構成。
青柳菜摘 (あおやぎ なつみ)
1990年東京都生まれ。映像メディアを用いた同時代芸術のアーティストとして、プロジェクトベースに主題を立て作品を発表している。経験の記述化をめぐり、観察、記録、物語(詩文)を手がかりにタイムベースト・メディアの可能性を探究している。2016年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。プラクティショナーコレクティヴである「コ本や honkbooks」主宰。「だつお」というアーティスト名でも活動。
著書に『孵化日記2011年5月』(thoasa publishing, 2016)、小説『フジミ楼蜂』(ことばと vol.3 所収, 2021)、詩集『家で待つ君のための暦物語』(thoasa, 2021, 第1回西脇順三郎賞候補)、詩集『そだつのをやめる』(thoasa, 2022, 第28回中原中也賞受賞)がある。
著者:青柳菜摘 造本設計、装幀:柳川智之 発行:thoasa 2023 2刷 ソフトカバー/ドイツ装 19.5×21cm 118p
新刊書籍