家族とは何か。
女らしさ・男らしさや愛情にもとづく家族は普遍的なのか。
愛情で結ばれ男女の分業を前提とした近代家族はいかにして誕生したのか。視角と方法としての歴史社会学を駆使し、「家族」「出産」「育児」「フェミニズム」といった諸論点に果敢に挑んだ記念碑的著作。
初版は1989年。80年代フェミニズムを総括した名著であり、2022年に増補を含め2022年に復刊。それはつまり「失われた30年」を照射する作品でもあるいうこと。
I 近代家族論の誕生
1 〈近代家族〉の誕生と終焉──歴史社会学の眼
2 家族社会学のパラダイム転換
3 近代家族をめぐる言説
II 出産と育児の歴史社会学
4 出産の社会史における二つの近代
5 江戸時代の出産革命──日本版「性の歴史」のために
6 近世末における間引きと出産──人間の生産をめぐる体制変動
7 近代家族における子どもの位置──妊娠・出産の意味を考える
8 現代家族の育児ネットワーク
9 家族の社会的ネットワークと人口学的世代──一九六〇年代と八〇年代の比較から
III フェミニズムとジェンダーの歴史社会学
10 フェミニズム理論における「家内性」と「近代」
11 フェミニズムの諸潮流
12 近代とフェミニズム──歴史社会学的考察
13 ビジュアル・イメージとしての女──戦後女性雑誌が見せる性役割
補章 お産と社会学とわたし
自著解題 〈近代家族〉の歴史社会学とその後
著者:落合恵美子 出版社:勁草書房 2024 2刷 375p
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