“ピンホールカメラで撮影したときのことは、なぜか鮮明に思い出せる。暗室でフィルムに光を当てて浮かび上がるそのイメージは、ヒマラヤで見つけたアンモナイトの化石のように、時間の痕跡を宿している。そして、記憶の中に埋もれた風景が再び浮上するとき、光が描く触れられぬ輪郭が、過去と未来をつなぐ回廊へと私を誘うのだ。”
（本書あとがきより）

1995年、大阪生まれ。現在は千葉県を拠点に活動する山西ももの作品集。
山西ももは東京藝術大学で金属の鋳造を学びながら山岳部に所属し、これまでキリマンジャロやK2などの山々を訪れてきたという。
ヒマラヤの山岳地帯、かつてムスタン王国のあった地で拾い集めた素材から作成したピンホールカメラ。小さな穴を通って像を結ぶ光は時間であり、焼き付けたフィルムは記憶である。それはアンモナイトの宿す、ヒマラヤがかつて海であったという記憶にも通ずる。光の時間と記憶の関係性から生まれた稀有な美しい作品です。ぜひ手に取ってみてください。
表紙のイラスト（銀箔）も本人によるもので、装丁も素晴らしい一冊に。

”なぜ人はイメージを抽出し、形に留めようとするのだろうか。”

初版750部
サインカード付属