“わたしがレコードを聴いていたのも、結局は似たような理由からだったのだと思う。ときにあまりに残酷で醜悪な世界から身を隠すため。閉ざされた内密の空間で生を実験するため。歌ってみたり、踊ってみたり、もうひとつの世界を、ありえたかもしれない今を想像したりして。もちろんレコードは片面二十分足らずで終わってしまうのだけれど。そしたらまた針を落とせばいい。そうしている少しの間、この世界をかたわらへ寄せて、別の世界へ、あるいは別の惑星へ。”(「あとがき」より)
『それで君の声はどこにあるんだ?』(岩波書店)が話題となった、神学者・文筆家・翻訳家の榎本空さんが語る音楽の効用。
ガザで、ウクライナで、虐殺が続く世界の片隅で、静かにレコードに針を落とす。
音楽に守られた日々の記録。
アラン・トゥーサン、ライ・クーダー、ハービー・ハンコック、そして細野晴臣。
音楽はシェルターになりうるか?
永井玲衣、後藤正文推薦
著者:榎本空 装丁:有山達也+大野真琴 装画:ワタナベケンイチ 出版社:晶文社 2025 初版 ソフトカバー 237p
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