国際的に大きなイベントがある時(例えばハロウィンやサッカーワールドカップ)
渋谷のスクランブル交差点は人が集まりごった返す
キックオフに遅刻
変なおじさんおる視線を感じつつ僕は針金を通した8冊のノートを蹴ったり引き摺ったりした
この日は惜しくもグルーウリーグ突破とはならず普通に人々に混じって電車で帰った
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都内を拠点に活動するアーティスト山田和幸の作品。
山田は写真や本の枠組みから外に出る衝動を抑えられず、その概念を覆し、破壊する試みを続けている。
自身で撮影した写真や描いた絵画を染め、濡らし、焼き、汚し、あるいはコラージュを施し、作品を完成させていく。予期せぬものに出会うこと、それが制作の原動力になっている。
今作は無地のノート。タイトルのみが表紙に印字されている。
4年に一度の大会を終え、ノートを引きずり街を徘徊する行為そのものが彼にとっての祭典であり、芸術なのだ。
限定8部
limited edition of 8
作品は一点ずつ全て手作りのため表紙を含め汚れ方、色合い、匂いなど全て異なります。
each book is handmade
制作をはじめたきっかけが2つあります。
1つは仕事で求められる綺麗な写真に飽きたこと。
もう1つは、新しく試みようとする時、それまでの経験が行く手を阻むと感じたこと。
自身の枠の外に出たいという願望から、一番初めに作ったものは手製の写真集。
写真や紙を焼いたり、汚したり自身の手を使ってダメージを与える行為は
パターンや発想に風穴を開けたいという意識の現れでした。
しばらく作り続けていると、もっと自由になりたいという欲求が生まれ、
落書きやコラージュ、針金や釘を使った現作品に至ります。
制作する際、はじめから古いものは使わず、
新品の状態から染め、汚し、傷、劣化など、素材に経験をさせてから、
手を動かしバランスと表情を探っていきます。
経験がそれまでとは違う表情を生み、失敗やミスの上に制作を重ねるのは、
いつかの経験が今に繋がっているという投影であるかもしれません。
私はまだ旅の途中で、予期せぬものに出会いたいという興味を持ち続けています。
(山田和幸)
著・発行 Author:山田和幸 Yamada Kazuyuki 2025
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