ヒマラヤの山奥深くに棲まう幻の獣、雪豹。全世界での推定生息数は8000頭に満たず、険しい高山地帯に生息しているため、野生下では目撃することすら困難とされている動物だ。そんな雪豹たちのあるがままの姿を見届けるため、写真家はインド北部のチベット文化圏、スピティに旅立った。
標高4200メートルの極寒の高地。狩る者と狩られる者の命のやりとり。自然の摂理の中で儚い生を生きる、雪豹、狼、狐、アイベックスなどの動物たち。その傍で、大いなる存在への畏れと祈りとともに暮らす人々。ひと冬の間、彼らとともに過ごした日々の中で、写真家が巡り会ったのは……。
『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』で第6回「斎藤茂太賞」を受賞した気鋭の著者による、待望の書き下ろし長編紀行。雪豹や野生動物たちの躍動感のある姿、スピティの祭礼や高地の村の様子など、貴重な写真の数々も収録。
著者・山本高樹さんのコメント:
十数年前から、雪の上の足跡を見つけたり、目撃した人々からの話を伝え聞いたりはしていましたが、自身の肉眼でその姿を見たことはなかった、野生の雪豹。幻の獣とも呼ばれる彼らを撮影することを目的に、僕はインド北部のスピティで、ひと冬を過ごしました。その日々の中で、僕が目にしたのは……写真だけでは到底伝え切ることができないほど、稀有で生々しく、そしてかけがえのない光景でした。極寒の高地で、巡り巡る命を、見つめ続けた日々の物語。一人でも多くの方のもとに届くことを願っています。
著:山本高樹 出版社:雷鳥社 2025 初版ソフトカバー 254p
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