福島加津也+冨永祥子建築設計事務所(東京・駒沢)による日本建築のリサーチ。
それも近代建築ではなく数百年前の伝統木造建築。
”このリサーチは、中世以降の日本建築の構造と空間が調和しているように見えながら、実はそのように見せているのではないか、という類推から始まった。異なる性質が重なり合う「擬(なぞら)える」関係は、「日本建築の擬」としてこの本の主題になった。”
資料を元に東北から四国にある仏堂を巡り、現地でその構造または装飾を確認していく労力に感嘆する。その分析を現地で撮影された写真に付記し、図面やイラスト、漫画へ拡張し、唯一無二の本を作り上げた。学者ではなく建築家として、歴史の正い答えを求めるのではなく、歴史を引き継いでいく実践論になっています。
黒い布装の表紙に、シルバー箔の英語タイトル、更に日本語タイトルを空押し。
本というメディアへの圧倒的なリスペクトが感じれる造本にもご注目を。
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第一章で日本建築について書かれていた海外の文章を再録し、第二章でリサーチした事例の紹介、第三章でいくつかの論考がまとめられている。主な写真は福島加津也、漫画は冨永祥子、アクソメなどの図版とテキストは山本瑠以が担当している。論考の中の対談では、建築史家の光井渉、建築家の難波和彦、構造家の多田脩二に登壇していただいた。英訳は佐脇礼二郎、日英併記で空間を伝える紙面のデザインは西村祐一による。
内容が多様で複雑なため、語り口はどうしても類推的になり、個人的な記憶と社会的な記録の間にたどり着いた。
この本は、歴史の正しい答えを求める実証論ではなく、歴史をどのように引き継ぐのかという実践論となる。
編集・企画:福島加津也、冨永祥子、佐脇礼二郎、山本瑠以 発行:ガデン出版 2025 A4判変形297×188mm|丸背上製 288頁
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