言葉ってすっごく永く香るから いま潮風に手帳ふくらむ
もう何も奪わないでくれ 震わせて真冬に洗うひまわり、造花の
港まで肩にもたれて ああ、僕ら海や言葉になりたかったんだな
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”人と人を結ぶ糸は永遠だ、って錯覚してしまうのはなぜだろう。”
人々の消えゆく言葉と記憶を書き留める、
『砂丘律』『千夜曳獏』に続くコンセプチュアルな最新歌集。
人と人の関わりはあやとりのようなものだろうか。
圧倒的な言葉の深度と名久井直子による目を奪われる造本。
戦争体験者への取材に基づく連作「つぐ」や、尾張藩主の御巡覧と伴走した「知多廻行録」(アートサイト名古屋城2024出展インスタレーション作品)を含む265首を収録。
著:千種創一 出版社:短歌研究社 2025 ハードカバー 198p
新刊書籍