※こちらはご予約商品です。
7月入荷予定。
ご予約頂いたお客様には入荷後、順次発送致します。
配送日のご指定は承れません。
他の商品と一緒にご注文頂いた場合は、こちらの商品が入荷後まとめて発送致します。
"エルメス、シャネル、マルジェラ、ギャルソン、ズッカにA.P.C、ミナからヨージ・ヤマモトまで。国内外82の有名ブランドに、こころもからだも捧げたファッション・フリークの、すがすがしき片思いの記録"
と解説の付いていた『HAPPY VICTIMS 着倒れ方丈記』(青幻舎,2008)が新装復刻!都築さんのマスターピース『TOKYO STYLE』と同じくAPARTAMENTからの英語版です。
『TOKYO STYLE』の撮影を踏襲し、あらゆる生活費を削ってブランドを買い、着倒れる人々=幸福な犠牲者たちを7年間に渡り取材。
「流行通信」で長期連載されていた(最長だったそう)ものを書籍化したのが本書。
見開きで一人一ブランド。
ソフトカバーからハードカバーへ仕様変更、写真作品は本人自ら調整に入った正真正銘のリマスター版です。
サイン入
英語 / English
以下、版元より
今回の復刊ではオリジナル版のソフトカバーから装いを新たにハードカバーによる製本。掲載されるすべての画像も、今回新たに著者自身で調整が施された「リマスター版」である。著者である都築響一がオリジナルの序文に加えて、復刊にあたっての新たな序文を執筆、またニューヨークとロンドンに店を構えるファッション・ブックショップとして名高い「Climax」の創設者であるイザベラ・バーレイ(Isabella Burley)による解説も付されている。
本書の内容は連載から20年以上経った現在でも、奇妙なまでに反抗的に見える。崇拝するブランドの世界観と広告表現の信奉者たちへのメッセージであるはずのファッション誌に掲載されながら、それは「美しいモデルが、美しい家で、美しい服を着て、美しい生活を送る」というような、我々が通常こころに描く「ハイファッション」のイメージではない。ここにいるのはコム デ ギャルソンに熱中する若いお坊さんや、紙のように薄い壁越しに聞こえてくる隣人の会話に耳を澄ますアレキサンダー・マックイーンのコレクターといった、すぐそこにいる人間たちだ。それぞれの自室で、コレクションを広げて撮影された匿名の信奉者/犠牲者たちは、それぞれのブランドへの執着から生まれる儀式と犠牲を楽しげに語る。彼ら“アンチ・ヒーロー”たちは、名声、ファンタジー、グラマー(魅力)といったハイファッションの世界観と並行した、もうひとつの現実として存在しているのである。
表紙と帯はすっかりリニューアルしたが、内容はオリジナル版から引き継がれたシンプルなドキュメンタリーのフォーマットが保たれている。見開きページひとつにつきひとりの「幸福な犠牲者(happy victim)」が登場し、作者が撮影した部屋の写真それぞれに、その人物に関する短い解説と、典型的な一日のスケジュールが添えられている。その多くは富裕層ですらないから、彼らは毎日仕事場と家を往復し、その合間に服の手入れをする時間を見つけなければならない。本書の全編に漂う共感や親近感からは、同時に「このプロジェクトをいま再現することの困難さ」も滲み出す。SNS上であらゆるストーリーが大規模に生み出され消費され消し去られながら、ファッション産業そのものが限りなく断片化され、拡散した文化現象となりつつある現在。そしてファスト・ファッションとストリート・レベル、両方のトレンドにハイファッションが本来の場を奪われつつある現在においては。
この「幸福な犠牲者」たちへの著者の眼差しは、書籍や美術品、音楽などに比べてファッションのコレクターをヒエラルキーの最下層に位置づけるような、世間の偏見に一貫して異議を唱えつづける。彼らの純粋な情熱のありようそのものが、著者にとって魔術的な魅力の発現なのだ。けっきょく、テキストを寄稿した著名なファッション・ジャーナリストのイザベラ・バーレイが言うように、2025年のいま、われらはみな(さまざまな顔をした)「幸福な犠牲者」たちなのだから。
著 Author:都築響一 Kyoichi Tsuzuki 出版社 publisher:APARTAMENT 2025 hardcover 184p 230 x 300 mm
new 新刊書籍