カメラが壊れるまでの 40 分。
たった 8 本のフィルムに写された台湾の自然のざわめき。
2025 年 2 月 21 日。その日は火曜日だった。
---
2025 年 2 月 21 日、火曜日。
富澤は故郷の台湾にて新作の撮影にとりかかろうとするが、わずか40分でカメラが壊れてしまう。カメラが壊れたことと同時に、”カメラがないと写真が撮れない”のかと自問し、首を垂れる。
帰国後、相棒のデザイナー(明津設計)にわずかばかりの写真を見せたところ、「見たことのない一冊がつくれる」とその日のうちに制作が開始されたという一冊。
このストーリーは、この写真集や富澤の作品に、そして写真をみる者に何か影響を与えているだろうか。
富澤さんの写真はいつだって最高だ。
そして今作には確かに何かが宿っているように私には見える。
「いつだって最上の状況で道具は振り回せるように
しなくてはならないのだと、思い知らされる。
だが、同時に僕はまだカメラがないと写真が撮れないのかと、
なんだか悔しくなった。
僕はなぜカメラという装置が壊れたことを気にしているのだろうか、
本来はカメラの存在も名前も忘れるようでなくてはダメなのではなかろうか。
そもそもカメラで捉えられる世界というのは、
管を用いて天を窺うようなものなのだから、
カメラに頼っているようでは、写真が良くても達人の域は超えない。
と海風に吹かれながら首を垂れる。」 (あとがきより)
写真 Author:富澤大輔 デザイン Design:明津設計 発行 publisher:南方書局 2025 ソフトカバー 縦 310 × 横 251 mm (B4 判変形) 48P
new新刊書籍