”辛かったんだという認識をして初めて政治的な行動が起きるかもしれないのに、辛いながらもささやかな幸福があったかと思うと、結局何も政治的なアクションに繋がらないんじゃないか、、そういう堂々巡りですね。
それはまさに、「文学は何の役に立つのか?」という一つの大きな問題です。”
文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな意味があるのだろうか。
文学の力を根源から問う、エッセイと批評の集成です。
大江、三島、瀬戸内寂聴ら先人たち、ハン・ガン、金原ひとみら同時代を生きる作家たちの文業、そしてリヒターやコルビュジエらの芸術論など論考は多岐に渡ります。
この問いが優雅な時代は過ぎ、”切迫した生々しさ”を持っている今だからこそ、読んでおきたい一冊だ。
著者:平野啓一郎 出版社:岩波書店 2025 ハードカバー 334p
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