七色のスポットライトのなかで
鳥になり 天空を飛翔する
それは 官能的で
無数の視線が つきささり
客たち 全部と
ファックしている
私・・・・・
(「舞台」より)
僕は
自分の座席を
さがすのだが
決してみつかつた
ためしがない
仕方がないので
どこにでも おずおず
すわるのだが
すわりごごちが
よかつたことはないのです
(「棘のある風景」より)
ハンセン病患者であり、隔離の中を性的マイノリティとして生きていた詩人・船城稔美(1923-2003)。
生前まったく注目されることのなかったこの詩人は隔離施設に入所後の15歳の時より亡くなる前年まで詩を書き続けた。
作風は性愛に始まり年月の経過と共に老いと死へ。
ときに季節や花を唄い、社会問題へも切り込んだ。
現在確認されている286編に及ぶ作品群から70編を精選した、初めて公刊される作品集。
“本書に収録した詩作品は、ハンセン病療養所に隔離された経験がない私にも、そしてどのような性的指向をもつ者であろうと、秩序への違和感を自覚して生きているだれもが共感しうる普遍性をあわせもっている。性の越境者として生き抜いた船城の作品は、時代を超えて読み手を鼓舞するだろう。”
編・解説:木村哲也 (国立ハンセン病資料館学芸員)
著者:船城稔美 出版社:柏書房 2025 ソフトカバー 261p
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