現代アメリカを代表する写真家トッド・ハイド(Todd Hido)の作品集。
2016年に刊行された初版の装いを新たに、同出版社より刊行された増補改訂第二版。1990年代から25年間に及ぶキャリアを包括的にまとめた初版に、約10年分の作品が追加で収録されている。
最初から最後まで息継ぎが出来ない作品が続く。
郊外の風景と住宅、そしてロードサイドのモーテルで撮影された娼婦たち。
アメリカの持つ暗い側面を凄まじいほどの美意識で収めた。
2000年に発表された最初の写真集『House Hunting』から一貫しているその美意識は全くブレることがない。アメリカを飛び出し、近年撮影されたアイスランド、ノルウェー、日本の作品も含まれてる。
カバーは開くとポスターになる仕様。
以下、版元より
風景や郊外の住宅を捉え、その細部の描写と眩い色彩を駆使する写真家として知られる作者は、インスピレーションを得るべく記憶と想像を深層まで掘り下げ、撮影するものすべてに比類なき映画的な眼差しを投げかけてきた。増補改訂版である本書には、直近10年の間にアイスランド、ノルウェー、日本への旅で撮影された新しい写真も含まれ、息を呑むようなイメージを我々に見せてくれる。その作品群には、先述したような視線を変わらず向けながらも、新しくそしてさらに広げられた視野をもイメージにもたらしている。
作者は過去に個々の作品シリーズを写真集として刊行しているが、本書は、最も象徴的なイメージとともに多くの未発表作品も収録し、そのキャリアの記録をまとめたものとしては最も包括的な一冊に仕上げられている。作品は年代順に構成され、それぞれのシリーズがいかに我々の心を踊らせるような形で重なり合ってきたか気付かされる。本書に寄稿しているキュレーター、ライター、そしてアーティストでもあるデヴィッド・カンパニー(David Campany)は、作品を紹介しつつ、作品が求める映画的な観客のあり方について考察する。作家であるカーチャ・ティレヴィッチ(Katya Tylevich)は、作者がこれまでに生み出してきた主要作品集の制作について思いを巡らし、「写真は人間が作った道と同じところへと導いてくれる。電線、足跡、これまでに辿った道の果てにまで届く」と語る。ティレヴィッチは作者のホームページでそれぞれの作品集に文章を寄せており、その内容とともに、これまでに刊行されてきた『HOUSE HUNTING』(2000年、2019年)、『OUTSKIRTS』(2002年、2021年)、『ROAMING』(2004年)、『BETWEEN THE TWO』(2006年)、『A ROAD DIVIDED』(2010年)、『EXCERPTS FROM SILVER MEADOWS』(2013年)、『BRIGHT BLACK WORLD』(2018年)、『THE END SENDS ADVANCE WARNING』(2023年)、そして特装版や実験的な作品の書影が添えられている。
家の外側からインテリアまで、表面的な観察から潜在意識の探究まで、風景からヌードまで、アメリカ国内のみならず国外まで、そのキャリアが歩む旅路の途中でまとめられたこの写真集は、作者独自の視点と着眼点が、時間とともにいかに発展し変化してきたかを明らかにするものであるが、どの作品においても距離と親密さの間に漂う緊張感は依然としてそこに在る。
著者 Author:Todd Hido トッド・ハイド 出版社 publisher:aperture 2025 hardcover 241 x 292 mm 320p
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