「その椅子は、ゴミ収集日に道端で見つけたもので、ぼろぼろになった肘掛けと擦り切れたクッションを隠すために、濃い茶色のコーデュロイの布で覆われていた。玄関のドアのそばに置かれ、隣家と私たちのアパートを隔てる路地を見下ろす、埃っぽい居間の出窓から差し込む早朝の短い光を浴びていた。」―ジュディス・ブラック
1980年、幼い子ども4人を連れ移り住んだ新しい家。
光を浴びる拾った肘掛け椅子。
4人の子どもたち、新しいパートナー、そしてセルフ・ポートレイト。
子どもたちとの生活を撮り続けた写真家の初期の作品群が一冊にまとめられた素晴らしい一冊です。
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最も意義深い瞬間は、劇的な出来事とは限らない。私たちの心に深く刻まれ、真に理解されていると感じさせてくれるものは、往々にしてささやかで、家庭的で、繰り返し起こる出来事なのだ。1980年代初頭にジュディス・ブラックが自宅で撮影した、幼い4人の子供たちと継父を写した写真は、このシンプルな真実を私たちに思い出させてくれる。
1980年、離婚後、ジュディスは家族をマサチューセッツ州ケンブリッジに移し、MITの暗室で働き始めた。家は立派ではなかったが、自分たちの家であり、新たな生活を始める場所だった。引っ越して間もなく、道端に捨てられていた使い古された肘掛け椅子を見つけ、窓際に置いた。そこは、休息と静かな劇場のような場所となり、ジュディスはそこから、子供たちの成長を、まるでコマ送りのように、日々見守っていった。
この新しい本には、彼女がそのたった一つの椅子を撮影したすべての写真が収められている。捨てられた家具だったものが、彼女の鋭い観察眼を通して、一種の境界線、つまり、世界全体を内包するシンプルなものへと変貌する。そこには、見過ごされがちな真実がある。それは、日常に寄り添い、部屋の同じ隅に何度も足を運ぶことで、物事をより明確に見ることができるようになるということだ。そして、人生の尺度は、壮大な行為ではなく、椅子の使い古された布地、移り変わる光、私たちの見守る中で成長していく子供たちの静けさの中にこそ見出されることが多いのだ。
『光が差し込んだ場所』は、まるで親が家で手作りするような、愛情のこもった贈り物のような趣を醸し出すよう、丁寧にデザインされています。それぞれの写真はシルクスクリーン印刷で柔らかな光沢ニスが施され、アルバムに丁寧に貼り付けられたプリントの輝きを彷彿とさせます。ページには手書きのメモが散りばめられ、親密で飾らない雰囲気を醸し出しています。表紙のないシンプルな装丁は、静かに、しかし確かな技術で綴じられ、愛情と繊細さが感じられます。
(STANLEY / BARKER)
著者 author:Judith Black ジュディス・ブラック 出版社 publisher:STANLEY / BARKER 2026 softcover 24x17cm 88p
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