なぜこんなことをいつまでも覚えているのだろう、
なぜ自分は今こんなことを考えているのだろう、
そんなことをふと思う人は多いはずだ。
著者の上田さん(の文章)はそんなふうに通りすぎていくことを人生の喜びに変えていく。そんな人生を肯定する。だから素晴らしいのだ。
ところで、上田さんの文章は、いっぽう、そういえば、たとえば、ところで、そもそも、終いには、話は飛ぶけれど、別の話、などと場面が頻繁に切り替わる。しかしそれが苦痛ではないのは私たちがつまりはそういうことだからだろう。
『あたしンち』の共作者にして俳人、漫画家の夫である著者の「日常の探究」は続いていた。当店でも静かなブームを巻き起こした『成分表』の続編が登場。
永井玲、品田遊推薦。
著者:上田信治 装丁:重実生哉 出版社:素粒社 2026 ソフトカバー 245p
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