生まれたことの不可解と、今存在していることの事実
ただその事実を受け入れ、「より生きる」ために創刊した「ライフマガジン」
大阪から奈良県宇陀市に移住し、米と大豆を作り、ニワトリを飼う里山の生活。
種を植え、稲穂の美しさにうっとりする。マムシを刈り、土竜を退治する。
鳥と共に生き、生かされる。「生き方」ではなく「生存」するということ。
根本にあるのは人間との関わりではなく異種生物との関わり。
春から冬へ生命の息吹を感じ、土の手触りを確かめながら綴った一年間の記録。
日記の体だが文体も言葉も密度が濃く、水と草、そして土の匂いを感じられる。
生きること、突き詰めれば生まれたことの不可解をひたすら問う(問うてくる)一冊。
おすすめです。
増刷を記念し、2018年12月に熊本県の長崎書店にて開催されたトークイベント『生命の<からまりあい>に生きる』東千茅×奥野克巳×石倉敏明の書き起こしとエッセイ『征服の反復としての里山生活/東千茅』を収録した別冊を付属。
著者/発行/写真:東千茅 写真/意匠:西田有輝 編集/文:豊川聡士 編集:石躍凌摩 ソフトカバー2019初版2刷 102p
新刊書籍