小説家、福永信の5年9ヶ月ぶりの新刊。
掌編3編で構成。
紙芝居のように流れていく風景、記憶?
帽子を被った娘、思い出を語る小学生の娘、おとうさんのおはなしを聞く娘
意図的に作られたページの余白が、物語に不思議な奥行きを与えている。
それぞれ本当に短い話だが余韻は予想以上に長く続く。
読み終えてタイトルを見ると「実在の娘達」とあるがフィクションだから実在するかはわからない。
タイトル、3編ごとに変わる印字と印刷(活版、写真植字+軽オフセット、DTP+オフセット 物語の背景とリンクしている!)、金の箔押しと台本のように仕上げた装幀、そのデザインは本の持つ魅力(読む、見る、めくる、触れる)を余すことなく表現している。
是非手にとって頂きたい味わい深い一冊。
そして奥付には珍しく著者・デザイナーの住所が記されている。実在を示している。
著者:福永信 発行・デザイン:仲村健太郎 2018.12
新刊書籍