『きみにはまだ名まえがない。名まえがないきみをなんてよんだらいいのか。きみはまだ生まれないわたしたちの娘で、わたしたちがきみに名まえをつけないといけないんだけど、なにも考えてない。まだ名まえがないかわりに、きみには一冊の本がある。』
詩人、メディア人類学者ふくだぺろの「詩小説」
「夜のない世界」であつめられた声の記録。
実際に本を開くと文字を追うのではなく様々な声が聞こえてくる。(フォントや文字の大きさもバラバラ)
詩や小説の形式を取ってはいるけれど、「はじまりはあくまでも声なのだ」、という世界のはじまり、夜明けを目撃しているような感覚に包み込まれる。
軽い衝撃を覚える一冊です。おすすめ。
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この本の中で「川」とか「山」という言葉があると、ホントにそれがあるように思う。
描写はなく、その言葉が書いてあるだけなんだけど、
あ、海だ
あ、川だ
と思ってる。
そういうことを意識しながら読むのははじめてかもしれない。(保坂和志)
私家版
500部限定
著者・発行:ふくだぺろ 2016初版 ソフトカバー 290p
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