かたつむり焼けば水焼く音すなり
椿落つ傷みつつ且つ喰はれつつ
死者いつも確かに死者で柿に色
照り返す葉表を蜘蛛歩きけり
くらがりの沼へ水入る蛾の羽ばたく
松山市在住の俳人、岡田一実の第三句集。
「記憶」の景色、情景。
「沼」と呼ばれる夜や死を連想させる独特の世界。
濃いブルーのカバーに銀の箔押しが美しい一冊。
京都の青磁社から。
『17という絶望的なほど短い音数で構成される俳句は、それ自体が世界なのではなく、世界を想起させる触媒のようなものだとずっと思っていた。
ところが、この句集を読んでいるとき何度も、一句がそのまま世界として立ち現れる様を目にするような気持ちになってしまった。』(金原瑞人 帯より)
著者:岡田一実 出版社:青磁社 2018初版 ハードカバー
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