晋一郎は
国立美術館に行く
王女とすれ違う
電車が鉄橋を渡る
枯れ木に鳥がとまっている
春美は
競争を嫌悪している
ベーグルを片手に
屋上で夕焼けを見ている
遠いどこかで虹が立つ
(普通の人々)
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谷川俊太郎詩集。
とても静かで観念的な詩集だと感じた。
谷川さんがカフェの椅子に座り通り過ぎていく人々を見つめている。
その呼吸が聞こえてくる。
その呼吸を聞きながら読者である我々は普通の人々ひとりひとりの物語を想像する。
ヤマグチカヨさんのイラストがとても良い水をこの本に与えている。
活版印刷のカバーを外してもこの絵を楽しめる。
著者:谷川俊太郎 装画:ヤマグチカヨ 装丁:宮古美智代 出版社:スイッチパブリッシング 2019 ハードカバー
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