「いつか死ぬとわかっていても、より良く生きようと思うのが人間だろう」
カバーのような真っ赤な血が流れ続ける。
時は1957年7月、舞台は広島県呉市朝日町。
ユウ、クンヒ、世津、ジュンヒ、ヨンジュ/英子、五人の娼婦の物語。
戦争の狭間、朝鮮半島と日本、交錯する男たちと暴力、受け継がれていく生命、、、
社会に翻弄され懸命に生きる人々の切実さを見事に描き切った長編。
時代設定は過去だが漂う暗い息苦しさはどこまで著者が意識していたのか分からないが現代に繋がり、
そしてまた変わらずそのような空気を作る人間、それでも生きていこうとする人間、その本質を問いかけてくる。
土門蘭、初の長編小説どうぞお楽しみください。
著者:土門蘭 装釘:橋本太郎 出版社:文鳥社2019初版 変形四六上製、408ページ
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