"メルボルンに実在したカフェ《シェヘラザード》。ナチスに蹂躙された故国ポーランドを脱出し、奇跡的に杉原千畝のヴィザを取得。神戸、そして上海を経由して、はるばるオーストラリアにたどりついたユダヤ難民/移民たちの声が、カフェを舞台にポリフォニックに響く――。"
生存者たちの「語り」とフィクションを織り交ぜながら書き上げられた圧巻の物語。
「深夜のラジオドラマを聞いているようだ」(訳者)との感想がこの本の紹介には一番良いのかも知れない。
緊迫と静謐さを持った肉声が耳元で響く。
死に直面しながら抜け穴のような生の道を歩く人間の姿。
オーストラリア在住の著者アーノルド・ゼイブルの日本語訳はこの作品が初めてとのこと。
bbb推薦の一冊。
装画・挿画:宮森敬子
著者:アーノルド・ゼイブル 訳:菅野賢治 出版社:共和国 2020.8初版 ハードカバー 317p
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