二〇〇八年五月五日、小説家柴崎友香は小雨の降る日比谷野外音楽堂にいた。
ROVOのライブを観ていた。
この小さな本はその夜の音、光を見たまま、聞いたままに書き残したもの。
ドラムやバイオリンの音と重なり高揚していく心、雨や野音を包む新緑の匂い、その空間をスケッチしていく。
コロナでライブが開催されない、行くことが出来ない現状(二〇二〇年五月)でこの一夜だけを綴った短編をignition galleryが書籍化。素晴らしい企画です。
僕も自身の体験を追憶しながら読まずにはいられなかった。
早く全身で音楽を浴びたい。空っぽになりたい。
二〇〇八年に文藝誌で発表されたものですが、二〇二〇年四月にあとがきを書き下ろし
装画に山口洋佑 装丁は横山雄(BOOTLEG)
著者:柴崎友香 発行:ignition gallery 2020 A6判 /中綴じ 24p
新刊書籍