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オススメどこにでもあるどこかになる前に。

『富山に帰ってくるなり、アラサー、未婚、子なしというだけで、自分が周囲の"普通"の規範から外れていたことがショックだった。東京では映画や音楽、雑誌といったサブカルチャーに囲まれた生活が私の"普通"だった。しかし「お腹いっぱいです」となって富山に帰ってきたら、今度は一切、それらにありつけない飢餓状態に陥ったのだ。』(p48)

著者は東京で編集者として過ごした20代を終え、実家のある富山へ帰る。
失われた風景といつもそこに大きくそびる立山。
均一化していく街並とそれに抗う個人の営み。
その狭間でもがくどこにも行き場のない人々。

半ば自虐的ながらもユーモアたっぷりに愛と憎悪を撒き散らしながら疾走する筆致に引き込まれたら最後、エンディングまで止まらない。富山と実家を舞台に繰り広げられる「第2の青春」。


著者:藤井聡子 出版社:里山社 2020.4 2刷 ソフトカバー/224p
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