"演じるのではなく、動きの真実を見せること。
空間、音楽、光と影、衣服、料理・・・・。
人の生活にあるすべてを使って、どこか心を揺さぶられる瞬間をつくりあげたい。
自分たちが消え、時代が移り変わっても残っていくような、
1000年続く舞台表現の根元を求め、挑戦を続けていく。"
『今度「したてやのサーカス」を見に行くんです。夫には見れば分かる、としか言われませんでした。』
新婚である後輩はそう言ってとても嬉しそうにしていたのを覚えている。
僕も彼女も名前は知っているけれど、中身はどんなものかよく分かっていなかったのだ。
音楽家・曽我大穂と服飾家・スズキタカユキを中心とした現代サーカスグループは2014年から活動を続けている。
会場には飲食や古本など出店ブースが立ち並び、舞台には大量の布と照明。
観客席はなく、どこに座っても構わない。
やがて音楽と足踏みミシンの音が鳴り響き、開幕する。
版元自らが聞き手になり、この舞台芸術集団がいかに生まれ、どこに向かい、何よりも何を表現しているのか、22の証言で迫っていく。証言=「語る」ことで真実が浮かび上がっていく過程を体験出来ます。
これを読むこと、そしてしたやのサーカスを見ることで、大げさかも知れないけれど人生や社会に緩やかな変化が生まれるかも知れない。
【証言者たち】
石川直樹(写真家)/ミロコマチコ(画家)/原田郁子(音楽家)/小金沢健人(美術家)/中嶋朋子(俳優)/青柳拓次(音楽家)/関根光才(映像作家)/西谷真理子(編集者)/石田悠介(映像作家)ほか
監修協力:曽我大穂 聞き手・編:高松夕佳 出版社:夕書房 2020.12 初版 ハードカバー 328p
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