歌できた?ふいに言われてこれから!とマスクを押さえつつ振り返る
(日曜日の同僚/山川藍)
愛知県にゆかりのある9人の歌人、谷川電話、戸田響子、小坂井大輔、寺井奈緒美、辻聡之、野口あや子、千種創一、惟任將彥、山川藍が、県内の様々な場所を想いながら作歌したアンソロジー歌集。
思うように身動きの取れない中、ここ(here)で生まれた歌。
歌人は何を思い、何を見ていたのか。
歌を詠むと立ちあがる風景は窮屈なものではなくて全方位に開かれていて、頼もしい。
そしてコンパクトに洗練されたデザインは光を反射して眩しい。
短歌は光を入れる窓のようだと思った。素晴らしい一冊です。
素敵な装画は宮崎信恵(STOMACHACHE.)
愛知県文化芸術活動緊急支援金事業/アーティスト等緊急支援事業「AICHI⇆ONLINE」の企画の一環で制作された。
限定1200部
友だちのアフロヘアーを通過するあいだ微風は複雑になる(谷川電話)
人の減りゆくオフィスに残りパソコンはデジタル音の嗚咽をもらす(戸田響子)
大村知事と河村市長が肩を組む写真を魔除けのために持ってる(小坂井大輔)
お月さまだけは変わらず出迎えるすべて駐車場に変わっても(寺井奈緒美)
天国の気配に満ちて対岸のパン屋はパンを焼き尽くしたり(辻聡之)
爆音に罪のいざない、きよらなる反骨心が街を照らして(野口あや子)
動くのが蝶、動かないのが花ならばその絵はまったく花にあふれる(千種創一)
ヨガをするひとびとよこたはる安置されてゐるかのやうなしづけさ(惟任將彥)
一人ずつ体温により許されて大きな門をゆっくりくぐる(山川藍)
制作・発行:ELVIS PRESS 2021.2 発売:ON READING印刷:藤原印刷株式会社
18cm×10.5cm 156P 限定1200部
新刊書籍