「トーベ・ヤンソンをムーミンの作者としか見ていない人がいるなら、ちょっともったいないと思う。」(フィリップ・テイル「まえがき」より)
トーベ・ヤンソン自身が生涯最後に編んだ傑作選、未邦訳の7篇を含む全31篇。
恋人、夫婦、友人、親子(とりわけ母娘)、「二人」の物語を描いてきたトーベの小説は人間が存在し、社会がある限り読まれ続けるだろう。自然と芸術、そして自由を愛し、絵を描き、漫画を描き、童話を創り、生涯創作の源泉が枯れることのなかったこの芸術家の瑞々しい言葉に触れることで読者はいつでも良き時間を漂うことが出来る。
この厚み、手触り、思わず頬ずりしたくなる。
装画はトーベ・ヤンソン自身によるもの、デザインは大島依提亜
最後に訳者久山葉子の素敵な紹介文を。
「トーベ・ヤンソンがこの世に生を受けて今年で百十七年。スェーデン語系フィンランド人であり、当時数少ない女性芸術家であり、相手の性別にこだわることなく恋をしたトーベ。何重にもマイノリティでありながら、そんなことは微塵も感じさせず、自由に存分に自分を表現し続けた姿が、本作からも浮かび上がってくる。そんな彼女の生き方に現代のわたしたちは永遠に勇気づけられるだろう。」(訳者あとがきより)
著者:トーベ・ヤンソン 訳:久山葉子 出版社:フィルムアート社 2021.7 二刷493p
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