春の帽子を
みにいきましょう と
あなたはいった
やがて
夢の涯てとなるような
野原へ
あなたと歩いていった
そっと
ふくらむ空気に
ほほえむわたし
春が帽子を
かぶっている
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春夏秋冬、朝昼晩と移り変わる光の色。植物のささやき。あなたとわたしの会話。
新境地と言っていい、編集版を除くオリジナルの詩集としてはおよそ4年ぶりとなる奈良の詩人西尾勝彦の詩集です。その言葉は更に柔らかく、そして拡がりを見せています。
これまで西尾さんの詩を読まれて来た方はこれが西尾さん?と新しい文体に驚かれるかも知れない。
また初めて読まれる方はこんな風に余白と光を描く詩人がいるんだ、と驚くかも知れない。
装画を手がけた小川万莉子さんの描く青と白がこの詩集の声を見事に掬い取っている。
祝福とほほえみの言葉。
著者:西尾勝彦 装画・挿画:小川万莉子 装幀・組版:川島雄太郎 撮影:菊井崇史 出版社:七月堂 2021.3 初版 ハードカバー
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