日本の前衛美術の先駆者であり、「具体」を率いた吉原治良の展覧会図録。
初期の静物画や「芦屋駅」などの牧歌的な風景画が戦争の影響もあって、具象・抽象を繰り返しながら最終的に「円」や「線」の作品に昇華されていく。昭和を体現しているような作家だと思った。

第1章　＜魚の画家＞となるまでー修学時代の仕事
第2章　白光のなかの乾いた夢想ーシュルレアリスムの影響
第3章　幾何学の精神に向かってー国際抽象運動のさなかに
第4章　苦難の時代に傷つく詩情ー戦中戦後の造形
第5章　＜具体美術＞の誕生を求めてー前衛への挑戦と模索
第6章　円環を閉じる繊細な詩心ー晩年の探求とその展開