「ハヤクココキッテヨー オトー」
「ハヤクー」
かんしゃくもちのおやじが怒鳴る
「自分でしなさい 自分でェ」
かんしゃくもちの娘がやりかえす
「ヨッパライ グズ ジジイ」
おやじが怒って娘のお尻をたたく
小さなユリが泣く
大きな大きな声で泣く
それから
やがて
しずかで美しい時間が
やってくる
おやじは素直にやさしくなる
小さなユリも素直にやさしくなる
食卓に向かい合ってふたりすわる
1960年に神保町の昭森社から発行された父と3歳の娘の生活を描いた小さな詩集の復刻版です。
夏葉社さんの紹介がこちら
「ぼくはこの詩集を神保町の古本屋さんで見つけたのですが、「ああ、もう!」と嘆きたくなるくらいに、可憐な佇まいです。父親と3歳の娘の日々を描いた、詩集の傑作。解説は、荻原魚雷さん。詩を読むよろこび、詩集を持つよろこびが味わえる1冊です。ゆっくり、何度もよんでほしいです。」
これだけで読みたくなりませんでしたか?
本の手触り、装丁にも心が篭った大切な詩集です。
著者:黒田三郎 解説:萩原魚雷 出版社:夏葉社 四六判 64p
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