ひとりでごはんを食べていると
うしろで何か落ちるでしょ
ふりむくと
また何か落ちるでしょ
ちょっと落ちて
どんどん落ちて
壁が落ちて 柱が落ちて
ひとりでに重なって
最後に ゆっくり
ぜんたいが落ちるでしょ
(うしろで何か)
幻の詩集、34年ぶりの新装復刊。
黙って流れ去ろうとする日常を意外な節々でしっかり呼びとめて、その果汁を吸いとる。美味くて栄養になる詩集。
-多和田葉子
この本に出会ってblackbird booksでは詩集をきちんと置いてみようと思ったのでした。
天地がひっくり返るほど驚いた記憶があります。
「この世とそっくりで少しずれた別の世界」について考えていると松井さんは仰っています。
掴もうとすると言の葉はするりと手の平をすり抜けて行く。故にどこまでも言葉を追いかけていく。
振り返って見ると帰り道が分からない。魔術的な魅力に満ち、菓物のように病みつきになる詩集です。
沙羅による装画、マットな装丁も素晴らしい一冊。
詩:松井啓子 装画:沙羅 装丁:大西隆介 出版社:ゆめある舎 2014.12 初版 A5 88P ソフトカバー
新刊書籍