『東京で働く娘と、認知症を患う秋田の母。介護はおろかそばにいることさえできないけれど、書き手になった娘は、母への文章を書こうと思った。書き終わると、そこにはひとりの女性の一生があり、その人に育てられた自分がいた。心の片隅で母を想う、すべての自称・不肖の娘や息子たちに捧ぐ-。』
自著「昭和の店に惹かれる理由」「シェフを「つづける」ということ」や雑誌「dancyu」など食と酒をテーマに執筆している井川直子さん。
本書は自身の母親のことを綴った、ごく私的な随筆です。
病気になってからの母を辿ることは娘がその女性にどう育まれてきたのかを知る道程でもあったようです。
「ただ、ただ、書いてしまったもので、書き上がった文章が何なのか、未だにわかりません」
戸惑いながらも書かずにはいられなかった記憶。
井川さんは出来上がった文章を自分で本にし、自身で販売することを決めました。
この本が読者にどんな波紋を広げるのか、想像は難しいですが、読んで頂きたい、とは強く思います。
装丁:菅渉宇
初版400部
著者:井川直子 発行:リトルドロップス 2019.4 A5判 ソフトカバー 160p
新刊書籍