「自分の内なる怒りには正直に、でも身のまわりには秩序と平和を築こう。」
年齢を重ねるほどに、みずみずしい作品を発表したアメリカの詩人・小説家、メイ・サートン。
1995年に83歳で亡くなるまで、その創作意欲は衰えをみせなかった。
さかのぼって1960年代の後半、はじめて小説のなかで自分の同性愛を明らかにしたサートンは、
大学の職を追われ、折しも愛の関係のおわりと父親の死の直後で、失意の底にあった。
やがて彼女は、世間の思惑を忘れ、ひたすら自分の内部を見つめることで新しい出発をしようと、
まったく未知の片田舎で生活をはじめる。その頃の一年間の記録である。
「女性自伝文学の分水嶺」とされる傑作。
著者:メイ・サートン 訳:武田尚子 出版社:みすず書房 2020.1 新装版 5刷 275p
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