田舎町のホテルにひとりの男がやって来た。無愛想な人柄…若い娘との待ち合わせ…妻子の来訪…町人たちは噂し、疑り深い語り手は男の背景にひとつの物語を紡いでいくのだが…語り手の視点から言葉巧みに読み手を作品世界へと誘い、作者自らこの作品を偏愛した秀逸な中編。表題作のほか、モンテビデオで起きた実話を憎愛と復讐の物語へと変貌させた「この恐ろしい地獄」。婚礼というオブセッションに取り憑かれた狂女を幻想的に描いた「失われた花嫁」の傑作短編を収録。
日本ではあまり紹介されることのなかったウルグアイの隠れた巨匠ファン・カルロス・オネッティ(1909-1994)の作品集。
著者自身が最も愛した作品。
南米文学を紹介する水声社「フィクションのエル・ドラード」シリーズの一冊。
状態良好
著者:マリオ・レブレーロ 訳:寺尾隆吉 出版社:水声社 2017初版 ハードカバー 179p
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